計画換気の考え方
従来の換気扇の欠点
従来の換気扇は、住宅の壁に大きな穴をあけて換気する方式ですから気密性が悪く、省エネという概念からは、 ほど遠い物でした。また、換気効率も気密性能が悪いためにあまり高いとはいえません。 高断熱・高気密住宅で従来の様な換気扇を使用すると結露など、重大な住宅欠陥の原因にもなります。
計画的な空気管理とは
計画的な換気を考えずに、ただ気密化を高めると、不快な環境になります。 建物の気密化と計画的な換気は表裏一体のもので両者を切り離して考えることはできません。 計画的な換気を行うことにより、次のような目的を達成できます。
新鮮空気の供給と汚染空気の排出
人の呼吸や、燃焼器具の使用などによって発生する炭酸ガス(CO2)、一酸化炭素(CO)など、 有害な汚染ガスを排出し新鮮な空気を取り入れて、衛生上、健康維持に必要な環境をつくります。
室内空気の清浄化
室内では衣類、布団やじゅうたんからのほこり、その他のチリや、トイレ・ゴミ・人体・喫煙・調理 などによる臭気が発生します。このチリや臭気を室内から排出し、衛生的で快適な生活環境をつくり出します。
熱や水蒸気の排出
台所のレンジ・冷蔵庫や浴室などで発生した不要な水蒸気を屋外に排出します。 冬期間、発生した水蒸気を適宜排出しなければ、空気中の水分はどんどん増えて結露の原因となります。 換気によって、この水分の多い空気を排出し、水分の少ない外気を取り入れることにより除湿されます。
住宅の性能を上げるために住宅の必要換気量について
セントラル方式の機械換気設備を設置している住宅における必要換気量は、住宅全体で換気回数0.5回/hとなっています。
各部屋ごとに常時、最低必要と考えられる排気風量を積算した値が一般的な規模の住宅の気積の約半分程度です。
カナダやアメリカの住宅の性能を上げるために住宅では換気回数0.5回/h程度であれば呼気による二酸化炭素濃度が極端に高濃度にならないとされています。
ISO等欧米各国の基準として住宅全体で換気回数0.5回/hが採用されることが多いようです。(R-2000の基準も同じ)
*ヨーロッパでは、0.6回/h〜0.7回/hが理想との考え方も出始めています。
「必要換気量」は入居者一人あたり20m³/hを最低風量とします。
必要換気量は、在室者一人当たり概略30m³/h以上(但し適当な温室度調整を行う場合は、1/3まで減らしても良い)が理想とされています。
*ヨーロッパでは、50m³/h必要との考え方も出始めています。
高気密住宅における換気方式
高気密住宅で、きれいな空気の下健康的で快適な暮らしを実現するには、次の条件が満たされていることが必要です。
必要条件 | 具体的内容 |
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必要換気量の確保 | 一時的に換気負荷が変化しても平均的に必要換気量が確保されていること。 |
換気経路の明確化 | 汚染空気や臭い、湿気が逆流したり、長い時間滞留したりしないよう、換気経路が明確になっていること。 |