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快適な住宅づくりの基礎 -

高性能住宅の熱環境。

夏涼しく、冬暖かい住宅の秘密をご存じですか?

冬の暖房方法としては、石油ストーブなどで直接的に熱を得る方法と、部屋全体を暖める輻射暖房があります。 石油やガスなどの直火からの暖房は、水蒸気の発生や一酸化炭素の発生など様々な弊害が指摘されています。 暖房方式は、室内全体をまんべんなく暖める、輻射熱による暖房が理想的です。そのためには、住宅の高断熱 ・高気密化が不可欠の要素になります。

快適な住宅環境は熱のコントロールから。

夏は涼しく、冬暖かい住環境を造るためには、住宅内の熱のコントロールが最も重要です。 その熱には、顕熱・潜熱が重要な役割を果たしていることはご説明いたしましたが、 更に熱には輻射熱・熱伝導・対流・気流など主に空気に含まれる熱のコントロールが 快適な住環境を創り出す根拠になります。

夏の輻射熱とは?

夏の輻射熱

輻射熱のもっとも代表的なものは、太陽熱やストーブの熱です。 これらは空気に関係なく光のように熱線として放出されます。 この輻射熱は絶対零度(-273℃)以上の温度を持つすべての物体から放出されています。 熱は熱い所から、冷たい所に流れる性質があります。 従って夏、太陽熱によって暖められた壁面に近づくと人体よりも温度が上昇しているので 壁からの輻射熱で暑く感じます。これを防ぐ工夫で室内を涼しく保つことが出来ます。

冬の輻射熱とは?

冬の輻射熱

冬は夏とは逆に、壁面の方が冷たくなり人体から壁面の方に熱が奪われて行くので寒く感じます。 これを冷輻射と呼びます。冬の暖房のコツは、壁面や床を暖めることです。 冷輻射の発生を防ぎ、温熱環境を守るためには、壁を冷やさないことが最も重要です。 断熱材が必要なのもこのためです。最も理想的な冷暖房は、夏の冷房には、 空気を冷やして軽い気流を造って冷房し、冬の暖房には壁面や床を暖めて輻射熱で暖房する事です。 ただし、気密の悪い住宅ではそういった事の実現は不可能です。

エンタルピ(全熱)

エンタルピ(全熱)とは?

顕熱・潜熱を解説したついでにエンタルピ(比エンタルピ)についても説明しておきます。 エンタルピは全熱または全熱量のことで、顕熱と潜熱の熱量の合計のことです。 エンタルピを計る基準は、乾き空気に対しては0℃の空気、水蒸気に対しては0℃の水とします。

熱量単位

熱量単位とは?

14.5℃の純水1kgを、15.5℃に1℃高めるために要する熱量を工業上の単位として、1キロカロリー(kcal)で表されます。


熱伝導とは?

熱伝導

個体の中を熱が温度差によって移動する事をいいます。 室内の温度が、熱伝導によって外に奪われていく現象があります。 物質の熱伝導は、室内の温度環境をコントロールする場合に重要な要素となります。


対流とは?

対流

対流とは、流体の熱が流体の動きとともに移動することです。 室内では空気が、お風呂を沸かすときには水が流体となり温度を上昇させていきます。


気流とは?

気流

外気の移動する早さを風速というように、室内の空気の流動する早さを気流といいます。 気流はドラフトともいわれ、断熱が不足している冬の窓辺などで、 外気に冷やされた空気が下方にスーと流動する現象がありますが、これをコールドドラフト現象といいます。 室内の気流は、0.5m/s以下に押さえるようにとされていますが実際には0.3m/sぐらいで肌に気流を感じます。 夏には、気流がないと、汗の蒸気で体の表面に飽和状態の空気の層が出来てしまい 汗が蒸発しにくくて不快感を感じてしまいます。

国際単位J(ジュール)とkcal(キロカロリー)とkW・h(キロワット・時)の関係。

一般的にエネルギーの表示単位として、kcalkW・hがよく使われています。 そういった中で、次世代省エネルギー基準では国際単位であるジュール表示も採用されました。 ジュールとは 仕事=力×長さのことです。1kJ=0.239kcal、1J=(1/3.6)x10-6kW・hの単位になります。 (参考ですが、1kcal=1/860kW・hとなります。)ジュールという用語は、物理学ではよく使われますが、 一般的には殆ど使われておらず、キロカロリーやキロワットアワーという用語が ケースにより使い分けられていました。国際単位(SI)表記統一化の流れでジュール表示が出てきました。 これからはこのような単位が主流になる物と考えられます。

1.快適な暮らしのために
  1. 高原のような爽やかな住宅。
  2. 高性能住宅の熱環境。
  3. 体感温度と快適環境。
  4. 高性能住宅の秘密。
  5. 住宅環境の地域区分とQ値。
  6. 住宅性能と数値表示。
2.住宅の性能を上げるために
  1. 高耐久性と高断熱工法。
  2. 高断熱工法と熱貫流率。
  3. 高気密工法と計画換気。
  4. 気密性能の測定法と計算方法。
  5. 高気密住宅と計画換気。
3.不快な結露を防ぐために
  1. 不快な結露のメカニズム。
  2. 湿り空気線図の見方と結露。
  3. 相対湿度と露点温度。
  4. 室内の湿気発生原因。
4.綺麗な空気を取り入れるために
  1. 住環境と換気の重要性。
  2. 室内汚染と換気の重要性。
  3. 換気の種類と全室冷暖房。
  4. 換気の種類と快適性。
5.省エネルギー性能を判断するために
  1. オール電化と快適な住環境。
  2. 省エネルギーと太陽光発電。
  3. 太陽光発電の仕組み。
6.住宅のエコ度を判断するために
  1. 高性能住宅の経済性。

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