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自立循環型住宅 - 新基準に対応する技術を基に拡張性と機能性を高めた省エネルギー住宅。

戦後、わが国は二度のオイルショックに直面し、エネルギー資源の乏しい我が国において省エネルギーを推進するため。1979年「省エネルギー法」(エネルギーの使用の合理化に関する法律)が施行されました。その後、国内外のエネルギーをめぐる経済的、社会的環境の変化に対応するため1993年に改正され、さらに、京都における気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)の結果を受けた1998年、さらに二酸化炭素の排出量抑制のために2006年にも「省エネルギー法」の一部改正が行われ、産業・運輸・民生の各分野における総合的な省エネルギー対策が進められてきました。

エネルギー使用抑制のためのトップランナー方式は、1999年4月に施行された改正省エネ法で導入され、基準未達成の事業者などには勧告や公表、命令、罰金などの措置が取られることとなりました。電気製品や自動車、ガス・石油機器などのエネルギー消費機器のうち、国が指定した「特定機器」について、その省エネ基準を、目標年度までに現在商品化されている製品のうち最も優れているもの(トップランナー)の性能以上にすることとし、その基準を順守させる規制方法で、その基準は、1) 対象となる機器の範囲、2) 判断の基準となるべき事項、3) 表示事項、4) エネルギー消費効率の測定方法など。対象となる製品を製造・輸入する事業者に対して義務づけられています。

2009年度では、エアコン・テレビ・冷蔵庫など21機器が対象となっており、これまでルームエアコンで68%、冷蔵庫で55%の省エネを達成するといった成果が上がっています。このように家電から開始されたトップランナー方式は、2009年4月に施行された「改正省エネ法」からは、戸建て住宅に対するトップランナー規制が導入されました。

改正省エネルギー法(2009年4月1日施行)

京都議定書の排出削減目標の達成(基準年1999年のCO2排出量の6%削減)を目標に、緊急の課題となっている地球環境問題を解決するためには近年、大幅に増加している民生部門(業務・家庭)におけるエネルギー使用の合理化を一層推進する必要性があり、住宅・建築の省エネルギー性能の向上を図ることが必要との観点から強化・改正されました。

改正の概要1 業務部門等に係わる省エネルギー対策の強化

製造業を中心とした工場だけでなく、オフィスやコンビニエンスストア等の業務部門における省エネルギー対策を強化(2010年4月1日施行)

  • 事業者単位(企業単位)のエネルギー管理義務を導入
  • フランチャイズチェーンについても、一事業者として捉え、事業者単位の規制と同様の規制を導入

改正の概要2 住宅・建築物に係わる省エネルギー対策の強化

  • 大規模な住宅・建築物(2000m2以上)に係わる担保措置の強化(指示、公表に加えて命令を導入)
  • 一定の中小規模の住宅・建築物(300m2以上)を届出義務等の対象として追加 ※2010年4月1日施行
  • 住宅を建築し販売する事業者に対し、住宅の省エネ性能向上を促す措置を導入(住宅トップランナー基準)
  • 住宅・建築物の省エネルギー性能の表示等を推進

改正の概要3 住宅の省エネルギー判断基準の改正

住宅の省エネルギー基準

省エネルギー判断基準のABCD区分内における改正1
    建築主及び特定建築物の所有者の判断の基準
  • 冬期日射有効利用住宅に係わる基準の簡素化
  • 開口部の日射遮蔽措置に係る簡易な算出方式の導入
  • 換気量の確保に係る規定の削除
  • 気密性の確保に係る定量的基準の削除
  • 市町村名変更等に伴う地域区分一覧表の修正
省エネルギー判断基準のABCD区分内における改正2
    建築主及び特定建築物の所有者の判断の基準
  • 冬期日射有効利用住宅に係わる基準の簡素化
  • 開口部の日射遮蔽措置に係る簡易な算出方式の導入
  • 換気量の確保に係る規定の削除
  • 気密性の確保に係る定量的基準の削除
  • 市町村名変更等に伴う地域区分一覧表の修正

改正の概要4 品格法に基づく住宅性能表示制度「評価方法基準」の改正

今回の改正では、「住宅の省エネルギー判断基準」設計・施工指針(仕様規定)において、施工に関する基準が合理化されることにより、結露防止対策に係る詳細な仕様規定が削除されます。現在は、住宅性能表示制度の評価方法基準における結露防止対策は、<設計・施工指針に適合していること>となっていますが、「住宅の省エネルギー判断基準」の改正後は、『住宅性能表示制度』の評価方法基準において、結露防止対策の詳細な規定が新たに設定されます。新たに設定される結露防止対策の規定の概要は、次の通りです。

    等級4
  • 繊維系断熱材を使用する場合で、防湿層を設ける必要のない場合の規定
  • 屋根・外壁を断熱構造とする場合で、通気層を設ける必要のない場合の規定

住宅事業建築主の判断基準(トップランナー方式)

建売戸建住宅を新築・販売する事業者が対象

「住宅事業建築主の判断基準」は建売戸建住宅を新築・販売する事業者を対象としています。建売戸建住宅について、目指す省エネルギー性能を定めた基準です。
※報告対象は、直前の年度中に新築した建売戸建住宅が150戸以上の住宅事業建築主が対象となります。

判断基準

  • 目標年次における建売戸建住宅の一次エネルギー消費量に関する基準達成率の平均が100%を下回らないこと
  • 建売戸建住宅の断熱性能が、平成11年基準を満たすよう努めること

算定方法

省エネルギー法で建築設備として位置づけられた設備である空気調和設備、換気設備、照明設備、給湯設備により消費される一次エネルギーが算定の対象となります。

評価対象住宅の基準達成率=評価対象の一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量×100%。新築した全建売戸建て住宅の平均の基準値達成率=全評価対象住宅の一次エネルギー消費量の合計÷基準一次エネルギー消費量の合計×100% 現状の省エネ性能の平均値を目標年では最低値に設け、新たに目標基準の平均値を定め、更なる省エネ性能の向上を図る

省エネ措置の届け出義務に該当する建築物の対象が拡大

対象 現行 改正
床面積
2000m2以上
  • 新築・増改築・大規模修繕を行う際に省エネ措置の届出義務化
  • 維持保全状況の定期報告→省エネ措置は努力義務
  • 新築・増改築・大規模修繕を行う際に省エネ措置の届出義務化
    →不十分な場合は是正命令
    →従わない場合は罰則規定の適用
  • 維持保全状況の定期報告
    →不十分な場合は勧告
床面積
300m2以上〜2000m2未満
  • 省エネ措置は努力義務
  • 新築・増改築を行う際に省エネ措置の届出義務化
    →不十分な場合は勧告
  • 維持保全状況の定期報告
    →不十分な場合は勧告
    (維持保全状況の定期報告は非住宅のみが対象)
    ※2010年4月1日施行
床面積
300m2未満
  • 住宅事業者に対して「トップランナー方式」で省エネ性能向上を促進
    →不十分な場合は勧告

「住宅省エネラベル」で住宅性能の明確化

次世代省エネルギー基準(1999年)がベースに

2008年の省エネ法の改正により、建築物の販売又は賃貸の事業を行う者は、外壁、窓等の断熱性及び建築物に設置する、空気調和設備等におけるエネルギー利用の効率性について性能の表示を行い、消費者への情報提供に関する努力義務が規定されました。(省エネ法第86条)表示すべき省エネルギー性能は、1999年の「エネルギーの使用の合理化に関する法律」の一部改正によって施行された「次世代省エネルギー基準」です。

2009年4月1日から、住宅事業建築主の新築する特定住宅(一戸建ての住宅)の省エネルギー性能の向上を促す措置が導入され、1999年基準「次世代省エネルギー基準」への適合について、幅広く消費者への情報提供が図られるよう、「ラベル」を活用した表示義務が制定されました。

■総合的な省エネ性能

住宅の外壁、窓等の断熱性能に加え、暖冷房設備や給湯設備等の建築設備の効率性についても総合的に評価し、「住宅事業建築主の判断の基準」(次世代省エネルギー基準)に適合する場合、住宅省エネラベルで表示されます。

■外壁、窓等の断熱性能

総合的な省エネ性能に加え、外壁、窓等の断熱性能について、「次世代省エネルギー基準」(1999年)への適合状況を表示します。

■評価方法

評価方法は、評価機関による第三者評価と自己評価のいずれでも評価が可能です。登録建築物調査機関による評価では、緑色を基調とした「住宅省エネラベル」の使用が認められ、自己評価の場合は、青色を基調としたラベル表示になります。

登録建築物調査機関の評価を受けた上で表示する場合(第三者評価)

  • 登録建物調査機関による評価を受けた場合
  • 断熱措置が判断基準又は設置施行指針に適合する場合
  • 左記以外の場合

建築主等が自ら性能を評価して表示する場合(自己評価)

  • 自己評価による評価の場合
  • 断熱措置が判断基準又は設置施行指針に適合する場合
  • 左記以外の場合

窓等の断熱性能に係る表示制度創設

■開口部、窓・ガラス・サッシの性能表示

2006年4月施行の改正省エネ法において、エネルギー需要の増加が続く民生部門の約半分を占める家庭部門の省エネルギー化を進めるにあたり、住宅の省エネルギー性能を決める大きな要因である開口部について、断熱性能の高い窓等を一般消費者が選択できるように、これまでの建築材料の製造事業者に加え、新たに加工事業者及び輸入事業者を対象に追加して一般消費者に省エネ対策に間する情報提供を進めることになりました。それが「窓等の断熱性能に係る表示制度」です。

開口部のうちでも、専有面積が大きいこと、特に居室における熱の流出入に直接的な影響を及ぼすことから、窓を対象とし、具体的な表示の対象としては、窓、ガラス及びサッシの3種別が表示対象になります。

■各表示の区分

1・窓の表示区分 4区分(開口部基準の熱貫流率で区分する。)

表示区分 (単位:W/m2k) 等級記号 【ラベル】(窓)
熱貫流率 2.33以下 ★★★★
等級3の表示例
熱貫流率 2.33超3.49以下 ★★★
熱貫流率 3.49超4.65以下 ★★
熱貫流率 4.65超

2・ガラスの表示区分 4区分(JISの熱貫流率に基づく低放射複層ガラス2区分、複層ガラス及び単板ガラス。)

表示区分 (単位:W/m2k) 等級記号 【ラベル】(ガラス)
熱貫流率 2.33以下 ★★★★
等級3の表示例
熱貫流率 2.33超2.70以下 ★★★
熱貫流率 2.70超4.00以下 ★★
熱貫流率 4.00超

3・サッシの表示区分 4区分(木・プラ・複合製サッシ、金属熱遮断構造サッシ、複層用金属製サッシ及び単板用金属製サッシ)とする。

表示区分 (単位:W/m2k) 等級記号 【ラベル】(サッシ)
木(又はプラスチック)と金属の複合製サッシ
プラスチック製サッシ
木製サッシ
★★★★
等級3の表示例
金属熱遮断構造サッシ ★★★
複層用金属製サッシ ★★
単板用金属製サッシ

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