自立循環型住宅とは、気候や敷地特性など立地条件と住まい方に応じて極力自然エネルギーを活用した上で、建物と設備機器の選択に注意を払うことによって居住性や利便性の水準を向上させつつ、居住時のエネルギー消費量(CO2排出量)を2000年頃の標準的な住宅と比較して50%にまで削減可能で、2010年度からの新基準に十分実用化できる住宅をいいます。
自立循環型住宅の設計に有効な要素技術
自立循環型住宅の設計には、効果が実証された13の省エネルギー要素技術が有効です。
- 住宅の条件
- 比較的温暖な地域(省エネルギー基準のIV地域)における木造一戸建て住宅が対象です。
- 13の省エネルギー要素技術
- 次の3つに分類されます。
A 自然エネルギー活用技術
- 自然風や太陽熱、太陽光などの自然エネルギーを化石エネルギーに代えて活用する技術
B 建物外皮の熱遮断技術
- 断熱、日射遮蔽といった建物外皮の建築的措置により、熱の出入りを抑制し、室内環境を適正に保つ技術
C 省エネルギー設備技術
- エネルギー効率の高い機器やシステムを選択し、投入エネルギーを低減し、かつ快適性を向上させる技術
A 自然エネルギー活用技術の種類
自然風の利用 |
- 目的:夏期夜間や中間期に外気を取り入れ、室内を涼しく保つ。
- 効果:冷房エネルギーを10〜30%程度削減できる。
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昼光利用 |
- 目的:昼間の明るさを住宅室内に取り入れ、人工照明の利用を軽減する。
- 効果:照明エネルギーを2〜10%程度削減できる。
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太陽光発電 |
- 目的:日中に太陽光で発電を行い、住宅内で消費する電力を自己生産する。
- 効果:消費電力を29.3〜39.1GJ(ギガ・ジュール)程度削減できる。(東京の場合)
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日射熱の利用 |
- 目的:冬期に開口部から日射熱を取得し、蓄熱して夜間に利用。
- 効果:暖房エネルギーを5〜40%程度削減できる。
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太陽熱給湯 |
- 目的:太陽熱を用いて給水を予熱し、給湯熱負荷を軽減。
- 効果:給湯エネルギーを10〜30%程度削減できる。
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B 建物外皮の熱遮断技術
断熱外皮計画 |
- 目的:室内と室外の境界における熱の出入りを抑制し、暖房設備の依存率を減らして室温を確保する。
- 効果:部分間欠暖房の場合、暖房エネルギーを20〜55% 程度削減、全館連続暖房の場合、40〜70%程度削減できる。
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日射遮蔽手法 |
- 目的:夏期や中間期に室内に侵入する日射を遮り、室内を涼しく保つ。
- 効果:冷房エネルギーを15〜45% 程度削減できる。
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C 省エネルギー設備技術
暖冷房設備計画 |
- 目的:高効率な暖冷房システム・機器を選定、設計をする。
- 効果:エアコン暖冷房の場合、暖冷房エネルギーを20〜40%程度削減、温水式床暖房+エアコン暖冷房の場合、暖冷房エネルギーを 15〜25%程度削減、セントラル暖冷房の場合、暖冷房エネルギーを15〜20%程度削減できる。
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換気設備計画 |
- 目的:要求性能に合った高効率な換気方式を選び、設計を工夫する。
- 効果:換気エネルギーを30〜60%程度削減できる。
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給湯設備計画 |
- 目的:適切な熱源方法を選定し、高効率な給湯設備を導入。
- 効果:給湯エネルギーを10〜50%程度削減できる。
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照明設備計画 |
- 目的:適切な照明配置を行い、器具を選定する。
- 効果:照明エネルギーを30〜50%程度削減できる。
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高効率家電機器の導入 |
- 目的:家電の買換時などに省電力化された家電機器を選定。
- 効果:家電エネルギーを20〜40%程度削減できる。
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水と生ゴミの処理と効率的利用 |
- 目的:水の有効利用と排水・生ゴミの効果的な処理を図る。
- 効果:節水型機器の利用により10〜40%程度節水が見込める。
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要素技術の選択方法
立地条件や住まい方などの条件に適した要素技術を選択して適用することが大切です。
- 条件例
- 地域の気候特性
- 敷地の形状や隣接建物との位置関係
- 住まい手の自然志向の強さ
- 暑さ寒さに対する許容度
- 実践例
- 実際に自立循環型住宅を施工し、その効果を確かめてみました。>>実践内容を見る